胃が弱い人の痛み止め選び
アセトアミノフェンと
NSAIDsの違い
胃への負担が気になる場合、アセトアミノフェンが選択肢になることがあります。
ただし、肝臓病、日常的な多量飲酒、ほかのアセトアミノフェン含有薬との重複などに注意が必要です。NSAIDsは食後に飲んでも胃潰瘍や消化管出血の危険がなくなるわけではありません。胃・十二指腸潰瘍の既往がある方や、服用中の薬がある方は、購入前に医師・薬剤師へ相談してください。
こんにちは、薬剤師のしばまるです。「痛み止めを飲むと胃が痛くなる」「胃が弱いけれど市販薬を使ってよいの?」というご相談、よくいただきます。
痛み止めは、成分によって胃への影響や注意点が異なります。今日はその違いと、安全に選ぶための確認事項をお話しします。
NSAIDsが胃に負担をかけることがある理由
NSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)は、痛みや炎症に関わるプロスタグランジンの産生を抑える成分です。一方、プロスタグランジンには胃粘膜を守る働きもあるため、NSAIDsの服用により胃痛、胃部不快感、胃・十二指腸潰瘍、消化管出血などが起こることがあります。
胃の症状は必ず起こるわけではありませんが、症状がなくても潰瘍が生じる場合があります。「胃が痛くないから大丈夫」とは限りません。
アセトアミノフェンとの違い
アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なるタイプの解熱鎮痛成分で、一般に胃粘膜への影響はNSAIDsより少ないと考えられています。ただし、過量服用やほかのアセトアミノフェン含有薬との重複は、重い肝障害につながるおそれがあります。胃への負担が比較的少ないことと、誰でも安全に使えることは同じではありません。
「胃が弱いのでアセトアミノフェンを」という方に、念のためお酒をよく飲む習慣がないかを確認するようにしています。アセトアミノフェンは肝臓で代謝されるため、飲酒量が多い方は事前に薬剤師へ相談していただくのが安心です。
アセトアミノフェンとNSAIDsを比較
| 比較項目 | アセトアミノフェン | NSAIDs |
|---|---|---|
| 代表的な製品例 | タイレノールAなど | イブ、ロキソニンSなど |
| 胃への影響 | 一般に比較的少ない | 胃痛、潰瘍、消化管出血などに注意 |
| 主な注意点 | 過量服用、肝臓病、飲酒、成分重複 | 潰瘍歴、鎮痛薬ぜんそく、腎・心・肝疾患、妊娠、成分重複 |
| 空腹時の服用 | 製品ごとの添付文書に従う | 空腹時を避けるよう記載された製品が多い |
「胃が弱い」というだけで自己判断しない
胃もたれしやすい方と、過去に胃潰瘍や消化管出血を起こした方では、危険度が異なります。次に当てはまる場合は、市販の痛み止めを選ぶ前に医師・薬剤師へ相談してください。
- 胃・十二指腸潰瘍や消化管出血を起こしたことがある
- 高齢である
- 血液を固まりにくくする薬、抗血小板薬、ステロイド薬などを使用している
- 鎮痛薬やかぜ薬でぜんそくを起こしたことがある
- 腎臓病、心臓病、肝臓病などで治療中
- 妊娠中、妊娠の可能性がある、または授乳中
- ほかの解熱鎮痛薬やかぜ薬を使用している
NSAIDsを使う場合の注意点
- 用法・用量を守る服用間隔、1日の上限回数を守ってください。
- 添付文書の指示に従う「なるべく空腹時をさけて」とある場合は、その指示に従ってください。
- 飲み合わせに注意ほかの解熱鎮痛薬やかぜ薬と併用せず、服用前後は飲酒しないでください。
- 必要最小限にとどめる改善しない場合は受診してください。食後服用や水での服用だけで、潰瘍・出血を完全に予防できるわけではありません。
⚠ 大切な注意
胃薬を一緒に飲めば安全、というわけではありません。NSAIDsによる潰瘍予防には医療機関での評価や処方薬が必要になる場合があります。市販の胃薬で自己対処しながらNSAIDsを使い続けることは避けてください。
アセトアミノフェンを使う場合の注意点
- ほかの痛み止めやかぜ薬にアセトアミノフェンが入っていないか確認する
- 用法・用量を超えて服用しない
- 服用前後は飲酒しない
- 肝臓病がある方や、日常的に多量の飲酒をする方は事前に相談する
- 空腹時に服用できるかは、手元の製品の添付文書を確認する
- 数日使っても改善しない場合は、自己判断で続けない
よくある質問
NSAIDsは食後に飲めば胃を傷めませんか?
アセトアミノフェンなら空腹時でも飲めますか?
胃薬を常備してNSAIDsと一緒に飲めば安心ですか?
痛み止めで胃が痛くなったら、別のNSAIDsに替えてよいですか?
⚠ 服用を中止し、速やかに受診したい症状
- 黒い便、血便が出た
- 血を吐いた、コーヒーかすのようなものを吐いた
- 強い、または持続するみぞおち・腹部の痛み
- めまい、立ちくらみ、息切れ、冷や汗など出血を疑う症状
- 息苦しさ、じんましん、顔やのどの腫れ
- 皮膚や白目が黄色い、強いだるさ、尿が濃いなど肝障害を疑う症状
大量の出血、意識が遠のく、激しい腹痛などがある場合は、救急要請を含めて速やかに対応してください。
⚠ 痛みそのものについて受診したい状態
- 市販薬を3〜5日程度使用しても改善しない
- 痛み止めを繰り返し、または頻繁に必要とする
- 痛みが悪化している、原因がわからない
- 発熱、しびれ、麻痺、息苦しさなど別の症状を伴う
まとめ
胃への負担が気になる場合、アセトアミノフェンが選択肢になることがあります。しかし、肝臓病、飲酒、成分の重複など別の注意点があります。NSAIDsは食後に飲んでも胃潰瘍や出血の危険がなくなるわけではありません。持病や服用中の薬がある方、潰瘍歴がある方、胃症状が出た方は、自己判断を続けず医師・薬剤師へ相談してください。
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参考資料
- PMDA 一般用医薬品 添付文書等情報検索
- PMDA「重篤副作用疾患別対応マニュアル:消化性潰瘍」
- 一般用医薬品の添付文書(ロキソプロフェン含有製剤、イブプロフェン含有製剤、アセトアミノフェン含有製剤)
参照日:2026年8月9日。製品の添付文書は改訂されることがあるため、公開直前に最新版を再確認してください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。症状や体質によって適した医薬品は異なります。医薬品を使用する際は添付文書を確認し、ご不明な点は医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。症状が改善しない場合や悪化した場合は、医療機関を受診してください。なお、記事内のリンクには広告(アフィリエイト)が含まれる場合があります。


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